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ギターで理解するディミニッシュスケール|「全部1音半?」の誤解を解く

約5分

ギターで理解するディミニッシュスケール|「全部1音半?」の誤解を解く

ディミニッシュスケールは、ジャズ・フュージョン・メタル・プログレなどで活躍する
強い緊張感(スリル)を作れるスケールです。
一方で「ディミニッシュって全部1音半(短3度)でできてるんじゃないの?」という疑問もよく出ます。
この記事では、その混同ポイントを整理しつつ、ギターでの覚え方・使いどころまでまとめて解説します。

ディミニッシュスケールとは?

ディミニッシュスケール(Diminished Scale)は、フレーズに不安定さ・妖しさ・強い引力を与えるスケールです。
「一瞬で空気を変えたい」「アドリブでスパイスを入れたい」ときに非常に有効です。

結論:ディミニッシュスケールは「全部1音半」ではない

先に結論です。
ディミニッシュスケールは、すべてが1音半(短3度)で並ぶわけではありません。

「全部1音半」の構造を持つのは、スケールではなくディミニッシュ・セブンスコード(dim7)です。
ここを分けて理解すると一気にスッキリします。

混同しやすい2つ:dim7コードとディミニッシュスケール

1) ディミニッシュ・セブンスコード(dim7)は全部1音半(短3度)

dim7コードは、音を短3度(=1音半)ずつ積み上げた完全対称のコードです。

例:Cdim7

C → Eb → Gb → A → (C)
      
  • 音程がすべて短3度
  • 対称構造なので、3フレットずつ同じ形になりやすい
  • ギター指板で「規則的」に見える代表格

つまり、「全部1音半」=コード(dim7)の話です。

2) ディミニッシュスケールは「全音と半音が交互」

ディミニッシュスケールの基本ルールは全音(Whole)と半音(Half)が交互に並ぶことです。
種類が2つあります。

Half-Whole Diminished(半音→全音→半音→全音…)

半 → 全 → 半 → 全 → 半 → 全 → 半 → 全
      

例:C Half-Whole

C → Db → Eb → E → F# → G → A → Bb → C
      

主な使いどころはドミナント7th(C7, G7など)の上です。

Whole-Half Diminished(全音→半音→全音→半音…)

全 → 半 → 全 → 半 → 全 → 半 → 全 → 半
      

例:C Whole-Half

C → D → Eb → F → Gb → Ab → A → B → C
      

主な使いどころはディミニッシュコード(Cdim, Bdimなど)の上です。

つまり、「全音+半音の交互」=ディミニッシュ“スケール”です。

なぜ「全部1音半」に感じるのか?(誤解が生まれる理由)

「ディミニッシュスケール=全部1音半」と感じる理由は、次の関係にあります。

  • ディミニッシュスケールの中にdim7コード(短3度で並ぶ音)が含まれている
  • そのため、指板上で短3度対称っぽく見える瞬間が多い

例:C Half-Whole Diminished

C  Db  Eb  E  F#  G  A  Bb
      

この中から、短3度で並ぶ音を抜き出すと……

C → Eb → F# → A  (= Cdim7)
      

つまり、スケールの中に「全部1音半」のdim7コードが内包されているため、混同が起きやすいのです。

ギターで覚えるときの重要ポイント

指板上の特徴:3フレットごとに“同じように”見える

ギターでディミニッシュ系が覚えやすい理由の一つが、対称性です。

  • dim7コード:完全に短3度対称 → 3フレット移動で同じ形
  • ディミニッシュスケール:全音・半音交互だが、内部にdim7が含まれる → 似た規則性が見える

だからこそ、「全部1音半?」という疑問が出るのは自然です。むしろ良い観察です。

実践:どんなコードで使う?

1) ドミナント7thで使う(Half-Whole)

例:G7の上で緊張感を作りたい → G Half-Whole Diminishedを使う

  • 強烈な緊張感を作れる
  • 次のコードへの“引力”が強くなる
2) ディミニッシュコードで使う(Whole-Half)

例:Bdimの上 → B Whole-Half Diminished

  • コードトーンを自然に含む
  • 怪しさ・不安定感を狙って演出できる

アドリブで使うコツ(外れて聴こえないために)

コツ1:長く弾きすぎない(スパイス感覚)

ディミニッシュは“濃い味”です。1〜2小節くらいで十分効果が出ます。

コツ2:解決先(着地)を意識する

次のコードのルート / 3rd / 5thなどに着地すると「上手く聴こえやすい」です。

コツ3:速いフレーズと相性が良い

規則的な構造なので、16分・レガート・シーケンスなどの速いラインにハマります。

よくある質問

Q. 難しそうで怖いです…

実は形自体は規則的なので、慣れると覚えやすいです。
さらに、3フレット移動の性質があるため、移調もシンプルになります。

Q. ロックでも使えますか?

使えます。特にハードロック / メタル / プログレでは効果が出やすいです。
「ここ一瞬だけ怪しくする」「盛り上がりの直前でスリルを出す」などに向きます。

まとめ

  • ディミニッシュスケールは「全部1音半」ではない
  • 「全部1音半」なのはdim7コード(短3度で積み上げ)
  • ディミニッシュスケールは全音と半音が交互(Half-Whole / Whole-Half)
  • 混同する理由は、スケール内にdim7コードが含まれるため
  • 実践では、ドミナント7thにHalf-WholedimコードにWhole-Halfが基本

この整理ができると、次は「どこで使うと外れにくいか」「どう解決するか」が一気に分かってきます。

About The Author

福岡LGMS音楽教室【LIGHT GUITAR MUSIC SCHOOL】ギター講師松尾領一郎
これまで、多くのバンド活動・サポート活動・作詞・作曲・レコーディング・メジャー流通のアーティストへの楽曲提供・演奏活動・CM曲・プロモーションを行ってきました。

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