ギターでドリアンスケールをわかりやすく解説
ドリアンスケール(Dorian Scale / ドリアンモード)は「マイナー感+少し明るい」独特の響きを持つスケール。構成音・指板の考え方・使いどころまで、ギター目線でまとめます。
ドリアンスケールとは?
ドリアンスケールは教会旋法(モード)のひとつで、ざっくり言うとメジャースケールの2番目の音から始めた並びです。
例:Cメジャースケール → Dドリアン
Cメジャー:C D E F G A B
2番目の音「D」から並べ直す:
D E F G A B C
これがDドリアンです(使う音はCメジャーと同じ。ただしDを主役にします)。
ドリアンスケールの音程構成(インターバル)
ドリアンスケールのインターバルは次の通りです。
1(ルート) ↓ 全音 2 ↓ 半音 ♭3 ↓ 全音 4 ↓ 全音 5 ↓ 全音 6 ↓ 半音 ♭7
ここが重要:ドリアンの「キャラ」を作る2点
- ♭3(短3度):マイナー感(哀愁)
- 6(長6度 / ナチュラル6th):明るさ・浮遊感・ファンクっぽさ
つまりドリアンは「マイナースケールなのに暗すぎない」のが最大の特徴です。
ナチュラルマイナーとの違い
ドリアンと混同しやすいのがナチュラルマイナー(エオリアン)。違いは主に6度です。
| スケール | 6度 | 響きの傾向 |
|---|---|---|
| ナチュラルマイナー(Aeolian) | ♭6 | より暗い/切ない |
| ドリアン(Dorian) | 6(ナチュラル) | マイナーだけど少し明るい/おしゃれ |
この6度の違いが、ドリアンの「明るいマイナー感」を作ります。
ギター指板での考え方(超実用)
ドリアンはメジャースケールのポジションを流用できるので、覚えやすいです。
- まず「親(元)」になるメジャースケールを決める
- 使う音はそのメジャースケールと同じ
- ドリアンのルートに着地する(主役にする)
- 6度を意識してフレーズに入れる
例:Dドリアン
- 元のスケール:Cメジャー
- 使う音:Cメジャーと同じ
- 意識するルート:D(ここに着地するとドリアンっぽい)
要するに「Cメジャーの指板で、Dを主役に弾く」という感覚です。
ドリアンスケールがハマるコード進行
ドリアンが一番「それっぽく」決まるのは、m7コード上で使う場面です。特に定番は以下。
定番進行:m7 → 7
例:Dm7 → G7
このときDm7上でDドリアンを使うと、ファンク/ジャズの定番サウンドになります。
実践で「ドリアンらしさ」を出すコツ
ドリアン感を出すポイントはシンプルです。
- 6度を積極的に使う(ドリアンのアイデンティティ)
- ルート → 6度の動きを作る(短いフレーズでも効果大)
- マイナーペンタ+6度という感覚で弾く(実用度高)
最短で使える覚え方
マイナーペンタにナチュラル6度を足すだけでも、かなりドリアンっぽくなります。
TAB付き・そのまま使えるドリアンスケールのフレーズ例(Dドリアン)
この記事では、ギターでドリアンスケール(ドリアンモード)を“今すぐ使う”ための
TAB付きフレーズをまとめます。想定キーはDドリアン、コードはDm7(1コード)を基本にしています。
前提:Dドリアンの構成音と「ドリアン感」のポイント
Key:D Dorian(Dドリアン)
想定コード:Dm7
構成音:D E F G A B C
最重要ポイント:ドリアンらしさの正体は B(ナチュラル6度)。
「マイナーペンタに6度を足す」感覚でOKです。
フレーズ①:最短でドリアン感が出る基本形(マイナーペンタ+6度)
まずはこれ。6度(B)を通るだけで、普通のマイナーから一気に脱却できます。
e|------------------------| B|------------------------| G|-----------5-7----------| D|-------5-7--------------| A|-5-7--------------------| E|------------------------| D F G A B
- 狙い:5弦7F(B)=6度を必ず通す
- 使いどころ:ソロの入り・フィル・短い合いの手
フレーズ②:ルート→6度を強調した王道ドリアン
D → B(ルート→6度)の動きは、短いのにめちゃくちゃドリアンっぽく聴こえます。
e|------------------------| B|------------------------| G|-----------7-5----------| D|-------7-5-------7------| A|-5-7-----------7--------| E|------------------------| D E F G A B D
- 狙い:フレーズの終点(着地)をDにする
- コツ:Bを“経過音”じゃなく“キャラ音”として目立たせる
フレーズ③:歌うようなメロディ型(上昇して気持ちよく)
メロディラインとして使いやすい形。B弦6F(B)が色気ポイントです。
e|-----------------5-7---| B|-----------5-6-8-----8-| G|-------4-5--------------| D|-5-7--------------------| A|------------------------| E|------------------------| D E F G A B C D
- 狙い:上昇していく“歌心”+6度の色気
- 使いどころ:ミドルテンポ、バラード、メロいソロの一部
※このフレーズは最後をDに着地させると、よりモード感が安定します。
フレーズ④:ファンク寄り(カッティングの合間に差し込む)
ファンクやグルーヴ系で使いやすい、短くて鋭いライン。6度を短く入れるだけでOKです。
e|------------------------| B|-------------6-8--------| G|---------5-7------------| D|-5-7--------------------| A|------------------------| E|------------------------| D E F G A B C
- 狙い:短いフレーズでも“洒落感”が出る
- 使いどころ:カッティングの隙間、バッキング中のフィル
フレーズ⑤:少し発展(8分〜16分で流せる定番形)
中盤〜終盤の盛り上げに使える、流れるライン。6度を主役級に扱います。
e|--------------------------| B|------------6-8-6---------| G|------5-7-----------7-5---| D|-5-7----------------------| A|--------------------------| E|--------------------------|
- 狙い:6度(B)を中心に“うねり”を作る
- コツ:最後の着地はD(またはF)にすると安定しやすい
練習のコツ(これだけで実戦投入が早くなる)
Dm7 | Dm7 | Dm7 | Dm7 |② 「6度なし → 6度あり」を弾き比べる
まずはいつものDmペンタ(D F G A C)で弾き、次にB(6度)を入れる。
たった1音で空気が変わるのを体感できます。
モード系は「どの音が主役か」が超重要。フレーズの終わりをDに寄せると一気に“ドリアン”になります。
まとめ
- ドリアンスケールはマイナー系だけど明るい
- 正体はメジャースケールの2番目スタート
- 決め手はナチュラル6度(6)
- 使いどころはm7コード上が特に強い
- 実践はマイナーペンタ+6度が早い


